外⾷は、特別なことです。⾃宅とは異なる空間で、お⾦を払って⾷事を楽しむわけですから。
料理やワインがおいしいのは当たり前。その上で、⼼地よい時間を過ごせるかは、店の姿勢にかかっているといっていいでしょう。

私がこのことを実感したのは、独⽴する前に訪れたとあるワインバーでした。
その店はワインの品揃えが豊富であるにも関わらず、ワインリストを置いていません。
では、どのように注⽂するかというと、料理や好みを伝えて、おすすめのワインを⼝頭で案内してもらうのです。
ワインボトルを⽬の前に並べて⼀つ⼀つ説明してくれるスタッフの熱量に、私はとても感動しました。

レストランにおける接客とは、注⽂をとって料理を運ぶだけではない。
⾃らの知識と情熱で、お客様に特別な時間を提供する仕事なのだと肌で感じた出来事でした。
この姿勢は、現在のアッカにも通じています。

私⾃⾝は、もともとワインやイタリア料理に詳しかったわけではありません。
⼤学院では数学を専攻し、研究者を⽬指していました。しかし、修⼠課程の2年間で研究者として⾷べていくことの難しさを痛感します。
それでは何をしようかと考えたときに、研究者の次に興味を引かれたのが経営者でした。
どんな事業を⼿がけるのか、どのような経営者を⽬指すのか。
詳細な計画はなかったものの、漠然と「いつか⾃分の飲⾷店を持ちたい」という気持ちがありました。

⼤学院卒業後はシンクタンクに就職しましたが、「⾃分の飲⾷店を持ちたい」という思いが⽇に⽇に強くなり、
それなら飲⾷業界に⾶び込んでしまおうと決意。
グローバルダイニングでワインやイタリア料理について学び、レインズインターナショナルでは店⻑やスーパーバイザーを経験しました。
修⾏期間は4年ほどでしたが、広く飲⾷店の経営に触れることができました。
2009年、念願の1号店である「vegebar acca」を⻄荻窪にオープン。
その後、⾼円寺、中野、神楽坂、恵⽐寿に「アッカ」をオープンし（「vegebar acca」は中野アッカに移転）、
信頼できるスタッフに⽀えられながら今⽇まで営業を続けることができています。

今後もレストラン・ワインバーという「⼼地よい時間を過ごせる場所」を⼤切に、事業を成⻑させていきたいと考えています。